《Episode 4 真実》
亞結「…やっと気づいたんだね」
優華「あんた…やっぱり…!」
亞結「…うん。そうだよ。私は…衣立唯愛。1年前のこの日、あの中学校の屋上から飛び降り自殺した…衣立唯愛」
香奈恵「どうなっているのよ!なんで死んだあんたがいるのよ!…私たちは生きてるの!?ねぇ!!!」
咲「い…嫌がらせのことは謝るから…!!!!お願い…もうやめて!!!!」
香奈恵「そうだよ!私たち、仲間でしょ!?私たちがいじめられる理由なんてないじゃない!!!!」
晴「…黙れ。先に仲間を裏切ったのはどっちだよ…かな…」
唯愛「晴、落ち着いて」
晴「…唯愛はそれでいいのかよ!?いじめてた本人たちだぞ!?」
唯愛「だからって晴が当たっていい理由にはならないでしょ!?」
晴「…っ!」
亮「おい晴。どういうことだ。説明しろ」
晴「…」
静「おい晴!!!黙ってねぇで何とか言えよ!!!!言ってくれよ!!!なぁ!!!!」
雄弥「…なぁ晴。もしかしてだけど…晴は全部わかってたのか?
俺たちがすでに死んでいることも、亞結が唯愛だってことも」
晴「!……そうだよ。記憶も失っていない」
香奈恵「ちょっと晴…どういうことよ!!!」
優華「香奈恵、おちついて。晴の説明ちゃんと聞こうか」
晴「…君たちを現実と大差ないこの世界に閉じ込めたのは…僕だ…」
静「…おい…どういうことだよ!!!」
咲「晴くん…?ねぇ…嘘だよね…?」
晴「残念だけど、嘘じゃない…」
唯愛「晴のせいじゃないよ。私のせい…。ここは、クリスマスの木が作った幻想世界…。ねぇ亮、今日は何月何日?」
亮「…1月1日だ…」
唯愛「幻想世界に来てから1週間と1日…だね。でも今日はね…現実世界では12月24日なんだよ」
香奈恵「…え?その日って…私たちが死んだ日…?」
咲「じゃあ…私たちは一日も過ごしてないってこと!?」
雄弥「おいおい…そんなメルヘンなことあるわけ…」
優華「ねぇ、ここに閉じ込めたのはなんなの?」
晴「…クリスマスの木の力だよ」
静「おい、そもそもクリスマスの木ってなんだよ」
亮「クリスマスの木は願いを込めてその木の周りの泉の水を飲むと、願いがかなうという、おとぎ話のあれか?」
晴「そう。そのクリスマスの木に唯愛がかけた願いはなんだったと思う?」
咲「し…知らないわよ…」
全員「…」
唯愛「今年のクリスマスも、皆で仲良く、楽しく過ごせますように。
私はそう願ったの。ねぇ、覚えてる?私たちが行ったあの海のこと。
あの海の近くにね、洞窟があるのを晴が教えてくれたの。
その洞窟を抜けた先に、クリスマスの木があった。だから願いをかけてみたの。
最初は私も信じてなかったから、ちょっとしたお願いだったの。
それが本物だってわかったから、当時、一番叶えたかった願いをしたの。
でも、私が自殺して、クリスマスの木は願いを叶えることができなくなってしまった。
それで終わりだと思ってた。けど、皆まで死んでしまった。よりによってクリスマスの日に」
香奈恵「じゃ、じゃあ…高校1年の時のいじめは…」
亮「僕たちの…現実の時の…思い出…」
晴「…皆亡くなったって聞いたから、僕も焦ったんだ。クリスマスの木がここにみんなを連れてくることはわかっていたから
僕も…自分の服に火をつけたんだ。だから、焼死…」
静「なんで…そこまでやんだよ…」
唯愛「私は死んだあと、今まで仕方ないで済ませていた感情が恨みに変わった。だから、あらゆる高校に散らばった
皆をそのクラスメイト達にいじめ返してもらってた!!!私がされたのを…そのまま!!!!」
香奈恵「唯愛!!!あの頃は…好きでいじめてたわけじゃない!違うの!!!あの頃は…親や先生、テスト…人間関係が
すべて壊れそうだったの!!!!私たちは…辛かっただけで当たっちゃっただけなの!!!!」
唯愛「知ってるよ。せいくんはたまたま通った路地裏でカツアゲされて、まったく歯が立たなくてイライラしていたし、
咲は治まってた筈の鬱病の再発。亮はネットで自分のブログが炎上。雄弥は父が作った借金を借金取りにおどされ
香奈恵は母親が危なかった…。晴は祖父が亡くなり、優華は…親にも先生にも妹さんと比べられて、見捨てられた
皆がつらい思いをしてたの…知ってたよ。だからそれが収まるまで待ってようと思ってた!信じてたから!!
でもあの日…」
~回想~
唯愛「皆、おまた…せ…?」
香奈恵「そうするしかないじゃない!!!今更どうしろっていうのよ!!!!そもそも唯愛が悪いんじゃない!!!」
唯愛「か…香奈恵?」
香奈恵「!!!!ゆ…唯愛…」
唯愛「ね、ねぇ、私何か悪いことした…?」
香奈恵「…ええ。たくさんね。今まで数えきれないほどたくさんね!!!!!」
優華N「香奈恵は、そばにあった、ごみ箱を蹴り上げ、唯愛にぶつけた。中身は思いっきり唯愛にかかった。
倒れた唯愛に香奈恵は近くにあった椅子を投げつけた」
唯愛「いっ…た…!!!!ねぇ…どうしたの…?なにがあったの…?なんで…?なんでなの…かなちゃん!」
香奈恵「なんで…?決まってるじゃん。嫌いだからだよ!!!」
唯愛「えっ…だって!私たち…ずっと一緒だって…仲間だって言ってたじゃない!!!」
亮「仲間?そんなもの、まだ信じていたのか」
唯愛「…え」
咲「あなたは…私よりも死ぬべきだわ」
唯愛「咲…ちゃん…?」
静「うぜぇんだよ。お前」
雄弥「同感だね。さっさと消えろよ」
唯愛「せいくん…?雄弥…?…優華!!!」
優華「なに?」
唯愛「優華、お願い!皆をとめ…」
優華「うるさいんだけど。なんなの?」
唯愛「ゆう…か…?」
優華「大体、いつもいつも私にまとわりついてきて、なんなの?」
唯愛「それは…優華がいつも私の…私の味方でいてくれたから…」
優華「味方?そんなわけないじゃん」
唯愛「!」
優華「あんたに味方なんて、この世には誰一人ともいないんだよ。身の程をわきまえなよ」
唯愛「…優華…」
優華「もう、呼ばないで。皆とも関わり切れば?」
唯愛「…そ、そう…だね…」
優華N「唯愛はそのまま廊下にでていった」
晴「お、唯愛、どうかしたのかい?」
唯愛「!…晴…。…ううん!なんでもない!大丈夫だよ!ありがとう!じゃ、じゃあ私、用事あるから!!!!またね!」
晴「…そっか…じゃあまた後でね!って…行っちゃったよ。でも屋上に向かってったよな…何の用だ…?」
優華「唯愛ぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
晴「!?おい優華!!!皆!!なんかあったのか!?」
咲「ゆ…唯愛ちゃんが…」
雄弥「おち…た…」
晴「…えっ…」
優華N「それを聞いた晴はすぐに窓から身を乗り出し、下を見た。が、おそらく唯愛の姿を確認したのだろう。
そのまま力なく、ずるずると座り込んだ」
晴「嘘…だろ…」
亮「…残念だが…嘘ではない…即死、だろうな…」
晴「お前らなんでそんな平然と…!」
優華N「晴が見たのは、ひどく青ざめた顔が並んでいるだけの光景だった。誰一人とも、ショックで何もしゃべらなかった」
晴「…なぁ、最近唯愛の調子がおかしいと思ったんだ…唯愛になにか…あったのか?」
香奈恵「…知らない…」
晴「…そっか」
~クリスマスの木side~
唯愛「皆…皆皆!!!心の中で私を恨んでた!!!!だからあの時、誰一人として優しい言葉をかけてくれなかった!!!
そうでしょ!?」
優華「違う!!!!!私たちは…」
唯愛「言い訳なんか聞きたくないっ!!!!」
優華N「景色はいつの間にか、教室から不思議な白い木の下に変わっていた。その中で、唯愛の叫び声が響き渡った」
to be continueted...