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《Episode 2 疑念》

 

唯愛「皆…どうしたの…?なにがあったの…?なんで…?なんでなの…かなちゃん!」

 

香奈恵「なんで…?決まってるじゃん。嫌いだからだよ!!!」

 

唯愛「えっ…だって!私たち…ずっと一緒だって…仲間だって言ってたじゃない!!!」

 

亮「仲間?そんなもの、まだ信じていたのか」

 

唯愛「…え」

 

咲「あなたは…私よりも死ぬべきだわ」

 

唯愛「咲…ちゃん…?」

 

静「うぜぇんだよ。お前」

 

雄弥「同感だね。さっさと消えろよ」

 

唯愛「せいくん…?雄弥…?…優華!!!」

 

優華「なに?」

 

唯愛「優華、お願い!皆をとめ…」

 

優華「うるさいんだけど。なんなの?」

 

唯愛「ゆう…か…?」

 

優華「大体、いつもいつも私にまとわりついてきて、なんなの?」

 

唯愛「それは…優華がいつも私の…私の味方でいてくれたから…」

 

優華「味方?そんなわけないじゃん」

 

唯愛「!」

 

優華「あんたに味方なんて、この世には誰一人ともいないんだよ。身の程をわきまえなよ」

 

唯愛「…優華…」

 

優華「もう、呼ばないで。皆とも関わり切れば?」

 

唯愛「…そ、そう…だね…」

 

優華N「それから、唯愛は教室を飛び出していった」

 

唯愛「ごめんね…皆ごめん…全部私の期待はずれだったね…待ってれば…

   待ってればいつかきっとみんなが元の優しくてあったかくて楽しい皆に戻ってくれるって思ってたけど…

   ちょっと、私疲れちゃった…ごめんね、待ってあげられなくて…ごめん…

   優華…今までありがとう…私を守ってくれて…皆ありがとう…ごめんね…サヨナラ…」

 

優華N「ふと教室の窓を見ると、唯愛が墜ちていく姿が一瞬見えた。その瞬間、私たちが今までしてきたことと、

    今さっき言った言葉を思い出し、我に返った」

 

優華「唯愛ぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

優華「…っは!!!!…はぁ…はぁ…はぁ…ゆ…夢…?」

 

優華N「時計を見ると、もう8時だった。急いで学校に向かった」

 

~2年H組教室~

 

雄弥「おっはよ~!!!」

 

静「おう!おはよう!」

 

香奈恵「朝から元気ねぇ…」(欠伸)

 

亮「全くだな…」

 

咲「お…おはよう…」

 

優華「ギリセーフ…!!!!!!おはよ」

 

晴「あ、皆、おはよう。やっと来たんだ」

 

優華「あれ?亞結は?」

 

香奈恵「いや?まだ来てないと思うよ」

 

亮「相変わらずだな」

 

亞結「…おはよ~」(欠伸)

 

晴「こら、亞結、手で押さえなさい!というより遅刻だぞ!」

 

亞結「ちょっとだからいいじゃん~」

 

晴「だめだ~」

 

優華N「あのクラス替えの次の日から、私たちはまたグループで動いていた。ただ、唯愛ではなく、亞結がいる」

 

静「にしてもよう、授業暇すぎじゃね」

 

亮・雄弥「同感だ」

 

晴「まー、授業が楽しいっていう人は少ないだろうね。

  ごらんのとおり、かなはお菓子食べてるし、咲はマンガ読んでるし、亞結は音楽聴きながら寝てるし…」

 

静「安定だな。よし、俺も寝てっかな」

 

亮「じゃあ僕はネットサーフィンでもしていようか。新しい情報が増えているかもしれんしな」

 

雄弥「今はなんの情報さがしてんの?」

 

亮「もちろん、アニメの特番についてだ」

 

咲「アニメ!?」

 

香奈恵「やっぱり食いついたわね~」

 

亮「今日は執事と王子様が2時間スペシャルみたいだぞ」

 

咲「ktkr」

 

雄弥「執事と王子様ねぇ~…あれの何がいいのかさっぱり…」

 

咲「あのね、執事と王子様は、執事の魁利様が実は異国の王子様で、姫である瑛梨香様にこき使われながらも恋に落ちていく

  ファンタジックな恋愛物なのよ!そして、別のお嬢様である音瑠が魁利様を奪おうとしたり、瑛梨香様と幼馴染の樂が実は

  魁利様の弟で、瑛梨香様と駆け落ちしようとしていたりとか!もう本当におもしろいの!」

 

雄弥「へ、へぇ…」

 

晴「咲…もう少し静かにな…一応授業中なんだから…」

 

咲「あっ…ごめん…私なんか…私なんか…」

 

晴「違う違う!大丈夫だから、ね?」

 

咲「う、うん…」

 

優華N「こんな感じで、久しぶりにとても平和にすごしていた。でも私たちはどうしても、亞結を死んだ唯愛に重ねてしまっていた。

    姿は違うけれど、行動、仕草、言い方、呼び方、あらゆる動きという動きが唯愛とそっくりだった。

    だから、もう一度、みんなでやり直した気になっていた。許してもらっていた気がしていた。だけど、ある日…」

 

亞結「ねぇ、優華!今度、ショッピング行かない?駅前においしいドーナツ屋さんがあるの!」

 

優華「!ど、ドーナツ屋…?」

 

亞結「うん!すんごくおいしいんだよ!!!!あ、みんなで行こうよ!」

 

優華「…」

 

亞結「…?優華?嫌だった?」

 

優華「!いや、いいよ。一緒にいこう!」

 

優華N「一瞬私の前にいる人物が誰なのかわからなくなってしまった。亞結の声で我に返った私はあわてて返事をしたのであった」

 

優華「…はぁ」

 

香奈恵「どうしたのよ。ため息なんかついて」

 

亮「当ててやろうか。亞結が死んだ唯愛に似すぎているから戸惑っているんだろ」

 

優華「…その通り」

 

静「実は俺もなんだ。明らかに行動が唯愛なんだよ…」

 

亮「そうだな。分析結果、聴くか?」

 

雄弥「なんだよ、分析結果って」

 

亮「どのくらい唯愛と亞結が同じ行動をとっているかの分析結果だ」

 

晴「まーた変なのを調べたのか…物好きだな」

 

亮「ほめ言葉をどうも」

 

咲「ほめてない」

 

亮「まぁ聞け。結果はな…調査した行動のすべて…90%だ」

 

香奈恵「そんな気がしてた」

 

亮「全てのデータがそろっているわけじゃないから何とも言えないがな」

 

雄弥「やっぱりあいつ…唯愛なんじゃ…」

 

晴「雄弥…気持ちはわかるけど、亡くなった人は生き返らないんだよ」

 

香奈恵「あのさ…」

 

静「香奈恵、どうした?」

 

香奈恵「あの子に最初に会ったとき…さ、アタシ、かなちゃんって呼ばれたんだよね…」

 

雄弥「き、気のせいじゃないか?聞き間違いとかー…」

 

香奈恵「ううん…確実にかなちゃんって…」

 

咲「じゃ、じゃあやっぱりあの子は…!」

 

優華N「亞結と唯愛が同一人物かもしれない…という疑念が渦巻く中、どうしようもない不安が私たちを襲っていたのであった」

 

                                                                              to be continueted...

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